令和5年の栃木県立高等学校入学者選抜の試験について
令和5年の栃木県立高等学校入学者選抜の試験について、栃木県のホームページに掲載されている集計の結果を基に考えてみます。
(https://www.pref.tochigi.lg.jp/m04/r5kekkanituite.html)を参照しています。
・この集計は全日制を受験した生徒から1000名を抽出しています。
どの5教科の問題の中にも、完全正答の割合だけでなく部分正答を含めた割合が載っている問いがあります。
部分正答なので、例えば6点中何点だったのかは、ホームページで掲載されている情報からは予測できません。
ここではこれまでの指導経験を踏まえて、このあたりだろうという推測で点数をつけました。
正確な点数ではないことを断った上で、この先を読むことをご承知ください。
国語
まず国語です。国語の平均は66.8点と予想します。
例年通りの平均点でした。
作文問題は20点中13点として計算しました。
大問1の正答率は81%でした。
漢字、文法、季語などの小問が15問です。
俳句で冬の季語を問う問題は正答率が半分を下回ってました。
大問2の正答率は59%でした。
古文は難しいです。
現代仮名遣いで読み方を書く問いは8割以上の正答率でした。
大問3はの正答率は58%でした。
縄文土器について述べた説明文です。
50字以内や25字以内で説明する記述問題は完全正答の割合と部分正答の割合の差が50%以上ありました。
大問4の正答率は61%でした。
江戸時代の寺子屋を舞台とした小説です。
正しい慣用句を選ぶ問題は98%の正答率でした。
一方で60字以内で記述する問題は部分正答を含めても21%でした。
大問5の正答率は63%でした。
自分の中学校を小学6年生に紹介する方法について二人の意見を読んでどちらが良いかを述べさせる作文でした。
社会
次は社会です。社会の平均は46.2点と予想します。
例年と比べて15点ほど低かったです。
これは他の教科の問題についても言えることですが、問題に入る前に会話文を読ませた上で、そ
の内容について答えを考える手の込んだ出題の仕方になっています。
大学入学共通テストの出題でも見られるやり方です。
個人的にはあまり好きじゃないやり方です。
普段の授業で探究力や深い学びを実践しているからというのが理由なのだと思います。
大問1の正答率は59%でした。
日本の地理についてです。
会話をもとに解く問題の正答率が35%でした。
大問2の正答率は39%でした。
ラテンアメリカ(南アフリカ)の地理についてです。
ラテンアメリカの国々について当てはまらない文章を選択する問題が正答率が25%でした。
大問3の正答率は40%でした。
古代・中世・近世の歴史が中心です。
江戸時代の歴史に関する2つの問いは正答率がどちらも70%以上でした。
大問4の正答率は57%でした。
近現代の歴史が中心です。
ローズベルト大統領の政策を尋ねる問いの正答率が72%でした。
大問5の正答率は35%でした。
政治や経済に関する公民が中心です。
栃木県と東京都の歳入の内訳を示した表を読み解く問題は、30%の正答率でした。
大問6の正答率は47%でした。
人権やSDGsに関する公民が中心です。
生活保護法の制度を尋ねる問いの正答率が18%でした。
数学
次は数学です。数学の平均は36.4点と予想します。
例年と比べて10点ほど低かったです。
大問1の正答率は66%でした。
小問8問ある中で、相似比から面積比を求める問題の正答率が36%でした。
大問2の正答率は31%でした。
方程式や文字式の文章問題です。
3問だけですが配点が高いので、ここで部分正答できると点数が稼げます。
方程式の文章問題は部分正答も含めて34%でした。
大問3の正答率は32%でした。
作図や体積、三角形の証明問題です。
コンパスを使った作図の正答率が19%でした。
大問4の正答率は48%でした。
確率やデータの活用の問題です。
累積度数を求める問題の正答率が36%でした。
大問5の正答率は24%でした。
大きく分けると関数の問題が2つです。
それぞれ3問ずつあります。
一つは変域や面積などを求める問題、もう一つは文章を読んで速さや時間を求める問題です。
グラフから計算する基本問題は正答率が75%でした。
大問6の正答率は25%でした。
規則性の問題です。
3問ある中で先に進もほど正答率が低くなります。
もし数学で50点を目指そうとしているならば、大問6は1問だけ解いて、他の問題を見直すことをお勧めします。
理科
次は理科です。理科の平均は50.8点と予想します。
理科も例年に比べて10点ほど低かったです。
大問1の正答率は67%でした。
小問が8問です。
重力とつり合いの関係の正答率が33%でした。
大問2の正答率は58%でした。
音に関する問題です。
振動数を計算で求める正答率が19%でした。
大問3の正答率は42%でした。
霧が発生する実験をもとに解く問題です。
実験から霧が発生する条件について記述する問題の正答率が部分正答を含めて27%でした。
大問4の正答率は47%でした。
だ液による消化についての問題です。
ベネジクト溶液の反応した色を選択する正答率が67%でした。
大問5の正答率は62%でした。
塩化銅水溶液の電気分解についての問題です。
化学反応式を記述する正答率が部分正答を含めて26%でした。
大問6の正答率は49%でした。
物体のエネルギーについての問題です。
計算やグラフを書くなど3問あり完全正答した割合がどれも3割程度でした。
大問7の正答率は36%でした。
溶解度についての問題です。
水溶液の濃度を求める計算の正答率が47%でした。
大問8の正答率は58%でした。
ジャガイモの生殖についての問題です。
染色体を模式的に正しく表す選択問題の正答率が76%でした。
大問9の正答率が35%でした。
太陽系の天体についての問題です。
理科の全ての分野の中で特に天体は難しいです。
苦手な生徒も多いです。
地球と月の満ち欠けと時間に関する問題の完全正答率が10%(部分正答率が34%)でした。
英語
最後に英語です。英語の平均は40点と予想します。
英語も数学や理科と同じように10点ほど低かったです。
大問1の正答率は43%でした。
リスニングが10問です。
対話から表を埋める問題の正答率がどれも30%ほどでした。
大問2の正答率は70%でした。
文法の穴埋めや並び替えの問題です。
3問ある並び替えのうち1問は正答率が35%でした。
大問3の正答率は40%でした。
世界のジャンケンについて文章を読んで解く問題です。
空欄に埋める適語を書く問いの正答率が4%でした。
大問4の正答率は25%でした。
ある男子が部活で成長する姿を書いた英語の文章を読んで解く問題です。
指示語の内容を日本語で書く問いの完全正答率が14%(部分正答率が40%)でした。
大問5の正答率は25%でした。
二人の会話文を読んで解く問題です。
5分程度の英作文を書く問いの部分正答率が55%でした。
気になった問題を教科ごとに詳しく解説
●社会まずは社会です。
大問2の1です。
サンパウロとリマの直線距離を選択する問題です。
地図から何が読み取れるでしょう。
経度が記されていますね。
サンパウロは(西経)50度、リマは(西経)80度付近です。
つまり二つの都市の経度の差は80-50=30度だとわかります。
ここで地球儀を想像してください。
地球は一周すると何kmでしょうか。
答えは約4万kmです。
改めて地図を見てください。
二つの都市を結ぶ線をなぞってみると赤道に平行しているように見えます。
なのであとは比を使えば答えが出せます。
円周は360度ですね。
30:360=□:40000を求めると、□は約3300となります。
次は、大問2の3です。
4つの文章の中で当てはまらないものを選ぶ問題です。
ラテンアメリカの国々の公用語は何でしょうか。
ブラジルがポルトガル語、それ以外の国々はスペイン語ですね。
つまり4つの文章の中で、「フランス語の看板を掲げる店が多く見られる」という箇所が間違いだとわかります。
●数学
次は数学です。
大問2の2です。
方程式の文章問題です。
数学なので文章に書かれている数字一つずつを気にするようにしましょう。
「一つの教室に15人ずつ入ると34人が入れない。・・・①」
「一つの教室に20人ずつにすると14人の教室が1つだけでき、使用しない教室が1つできる・・・②」
それぞれの文章を式で表してみましょう。
ポイントは中学生の人数は決まっている、つまり2つの式が同じ(=)ということです。
教室の数をX(エックス)として中学生の人数を式で表します。
①は15X34
②は20(X-2)+14です。
詳しくは写真で書いた図を見てください。
15X34=20(X-2)+14を解けば答えが
出せます。
次に大問3の2(2)です。
台形を一回転させてできる立体の体積を求める問題です。
まずどんな立体になるか図に書いてみましょう。
すると円錐と円柱を合わせたような立体になるとわかります。
ヨーロッパのお城のてっぺんにあるような形です。
あとはそれぞれを式で表して足せば答えが出ます。
円錐の体積は3分の1を掛けることを忘れないようにしましょう。
次に大問4の2です。
(1)は累積度数を求める問題です。
累積とは「積み重ね」です。
表に積み重ねていった数字を書いておくといいですね。
おまけで相対度数の求め方も書きました。
相対度数は小数で答えてください。
(2)は最頻値を求める問題です。
ヒストグラムを書いたときに一番突き出ているところですね。
一つ注意してください。
階級値で答えを書くことです。
うっかり「13人」と答えてしまうと間違いです。
「20.0~22.0」の間なので21.0(秒)と答えます。
●理科
次は理科です。
大問2の2です。
振動数を求める計算です。
振動数は1秒あたりの振動する回数のことです。
つまり表を読み取ったあとは比の計算でできます。
意外と簡単ですよ。
詳しくは写真の解き方を見てください。
次に大問7の2です。
溶解度の問題です。
溶解度は100gの水に溶ける限界の量です。
ここではでは10gとなっています。
問題は20gの水に溶ける量を考えるので溶解度を5で割れば求められます。
つまり2です。
あとは溶け残る量を求めるために引き算します。
7-2=5gが答えです。
●英語
次は英語です。
大問3の3です。
下線部の内容を日本語で答える問題です。
まずは下線部を含む英文の前か後ろの文章を読んでみましょう。
それで問題文に合う方を選べば大丈夫です。
「アリは( )から、アリがゾウに勝つ。」とあるので直後の方の英文を訳せばつながりが良さそうです。
もし分からない単語があったらその部分は訳さずに飛ばして、部分正答をねらいましょう。
An ant can get into an elephant’s ears and nose, and the elephant doesn’t like that.
(アリはゾウの耳や鼻の中に入ることができて、ゾウはそれが好きじゃない)
次に大問4の2です。
同じように下線部の内容を日本語で答える問題です。
ここで例文をあげます。
二人の会話です。
I bought a CD yesterday. Where did you get it?
「it」は何を指すでしょう。「a CD」ですね。
この問題も同じです。
I lost against him for the first time. I never thought that….
「that」は「I lost against him for the first time.」を指します。
「私は初めて彼に対して負けた」ことです。
あとは「私=修二」「彼=竜也」に置き換えて答えを作りましょう。
私は浪人して大学に行きました。
それから就職を何度か繰り返してきて、これまでの人生はずいぶん遠回りしているかもしれません。しかしその分「回り道」をしたことでどんな経験も無駄ではなかったとも思っています。
人生の中で受験は通過点の一つに過ぎませんが、大きな試練の一つでもあります。子供から大人へと成長しようと「脱皮」している彼らに手助けしてあげたいと考えています。
ぜひ一度ご連絡ください。
彼らの力になるべくご相談、ご質問等お待ちしています。
それから就職を何度か繰り返してきて、これまでの人生はずいぶん遠回りしているかもしれません。しかしその分「回り道」をしたことでどんな経験も無駄ではなかったとも思っています。
人生の中で受験は通過点の一つに過ぎませんが、大きな試練の一つでもあります。子供から大人へと成長しようと「脱皮」している彼らに手助けしてあげたいと考えています。
ぜひ一度ご連絡ください。
彼らの力になるべくご相談、ご質問等お待ちしています。